愛犬の歯磨き

ちょっと待って!愛犬の歯磨きをはじめる前に読んでほしい3つのこと

歯石や口臭など、気になる愛犬のお口の問題。
犬の歯周病はズーノーシス(人獣共通感染症)のひとつであるという研究結果も発表されています。
人獣共通感染症としての犬歯周病に関する研究
昨今、愛犬のオーラルケアは公衆衛生への取り組みとしても推進されてきました。
だからといって、急に歯ブラシ片手にゴシゴシ!とやってしまっては、愛犬は嫌がるばかりです。
「口内に異物(歯ブラシ、歯みがきシート、指…)が入っても嫌じゃないよ!」と学習させるトレーニングからはじめましょう。
今回は、愛犬の歯磨きに挑戦する飼い主さんに、歯ブラシを持つ前にやってほしい3つのことをご紹介します。

 

 

まずは、理想的な学習ができた歯磨きの様子を見てみましょう。

 

 

半年後・・・

 

 

いかがですか?
このように歯磨きをやらせてくれるようになると、歯周病予防にも効果的ですよね。
では、この子のようになるには、どのような過程を経ていけば良いのでしょうか。

 

STEP1 Hold(ホールド)を身につけよう!


 

ホールド

 

愛犬の歯磨きには、やりやすい態勢があります。
それが、Hold(ホールド)です。
やり方は簡単。まず飼い主さんは立ち膝になります。その足と足の間に愛犬を挟みます。(画像参照)
ポイントは、愛犬の肩までしっかりとうずめることです。
そのまま、優しく撫でたりしながら、たくさん褒めてあげます。
「とっても褒めてもらえるから、この場所好きだな〜(落ち着くな〜)」
と学習するように、できるだけたくさんトレーニングを行います。
スムーズにHoldできるようになり、その状態でも愛犬がジッとしてくれていたり、伏せの状態になったりするようになれば、良い学習ができてきたということになります。
(個体差により所要日数は異なります。焦らず愛犬のペースで行ってあげてください。)
そうしたら、次のステップです。

 

STEP2 系統的脱感作を使った歯磨きトレーニング!


 

マズルコントロール

 

歯磨きをするには、口元を持たなければいけません。
次は、愛犬が口元を触らせてくれるようにするトレーニングです。
犬にとって口元はデリケートな部位の一つです。
そのトレーニング方法として用いるのが、系統的脱感作です。
脱感作とは、「感じる=触る」ことへの反応がなくなるという意味です。
系統的というのは、そのボリュームを徐々に大きくしていくということ。
すなわち、少ない刺激から徐々に刺激をプラスしていき、最終的に目的の刺激でも反応しなくなるように順化させていくトレーニングです。

具体的には、

1.ホールド
2.体を撫でる
3.頭を撫でる
4.マズル(口元)を軽く持つ
5.マズル(口元)を持って顎を上下左右に向ける

です。
嫌な経験を与えないよう無理のない範囲で行いましょう。

 

STEP3 拮抗条件付けを使った歯磨きトレーニング!


 

犬の歯磨き

 

犬の学習は、行動の後に現れる4つの法則で成り立っています。
・良いことが起きる
・悪いことが起きる
・良いことが無くなる
・悪いことが無くなる

この中から「良いことが起きる」を使って学習を深めていきます。
これを、拮抗条件付けトレーニングと言います。

今回は良いこと=ご褒美を用います。
すると、STEP2はこうなります。

1.口内に指を入れる→褒めてご褒美をあげる
2.ガーゼハンカチを水で濡らし歯磨き→褒めてご褒美をあげる
3.歯磨きシートを使って歯磨き→褒めてご褒美をあげる

あまり好きじゃないことも、その後に起きる良いことが関連付けられ、好きなことに変化します。

「でも待って…歯磨きのトレーニングなのに、オヤツあげるの??」
と思うかもしれませんね。
しかし、ここはあくまで”歯磨き前のトレーニング”であることを忘れないでください。
一旦、磨きたくなる衝動は抑え、愛犬の学習に徹してあげましょう。

口内環境を良好に保ち、愛犬には健やかに過ごしてほしいですね。

 

犬の歯ブラシ