The Yellow Dog Project

「うちの犬に触らないで」と言えない飼い主さんを救ったリボンとは?

近年、たくさんの人々が犬たちと共に暮らしています。
その一方で「犬はみんな人には好意的だろう」という偏った観点を持ち、犬たちのサインを見逃してしまった結果、咬傷事故に繋がるケースも少なくありません。
今回は、ちょっとした思いやりが犬と人を守ることに繋がったスウェーデン発祥の「イエロードッグプロジェクト」をご紹介します。

 

「可愛いから撫でてあげる」は要注意!?


 

最近、お客さまからこんなお話を伺いました。
「うちの子は見た目がおとなしそうなので、みんな撫でてくれようとするんですが、実は人が苦手なんです。」
特に咬み付いたりするわけではないのですが、あまりストレスを加えると心配とのこと。
「だからといって、せっかく好意的に接してくれる人に、触らないで!とは言いづらくて…。」
お互いに理解している間柄であれば問題ないことも、初対面やあまり面識のない者同士では、言葉一つが与える印象は大きいですよね。

過去に起きた咬傷事故の主な原因
放し飼い(あるいは逃走中) 引き綱が長すぎた
犬にさわろうとした 食事中の犬に手を出した
犬のけんかを止めようとして、飼い犬をかばった 玄関近くにつないでいた
誤って犬に接触した 出産後、親犬が子犬の世話で警戒状態であった
散歩中に犬を制御できなくなった 引き綱をつけないで散歩

埼玉県公式ホームページより一部抜粋「犬の咬傷事故Q&A」

犬が人を咬む時、それは一つの理由だけでなく身体的・精神的ストレスや迷信的な理由など複数の因果関係から引き起こされるケースがほとんどです。
それを初見で察知できるのは、動物行動学を熟知したプロでも容易ではありません。

 

スウェーデンから発信「イエロードッグプロジェクト」


 

イエロードッグプロジェクト

 

2012年6月、スウェーデンでとあるプロジェクトが発足されました。
それは、「リードに黄色いリボンやアイテムを付けている犬を見かけたら、むやみに近寄らずそっとしてあげよう」というもの。
黄色いリボンを付けている犬は、単に凶暴ということではなく、健康やトレーニング上まだ不慣れな犬たちの気持ちを尊重してあげようという共通認識です。

イエロードッグプロジェクト
http://www.theyellowdogproject.com/

「イエロードッグプロジェクト」は、様々な人々が世界中に情報を拡散していますが、目の前の人に伝わっていなければ意味がありません。
だからこそ、少しでもこうした活動が必要である背景を「犬を飼っている人」や「犬が好きな人」だけでなく「犬が苦手な人」にも理解していただきたいと思っています。
良くも悪くも影響を受けるのは、いつも犬たちなのですから。