いつも私たちの身近にいる犬たち。
実は犬種によって、得意なことや、かつて担っていた仕事が異なることを知っていますか?
羊をまとめる犬、においで獲物を探す犬、人のそばで暮らすことを目的として生まれた犬。
犬の姿や行動には、人と一緒に働いてきた長い歴史が残されています。
今回は、犬の種類を「もともとの仕事」から調べてみましょう。
記事の後半では、夏休みの自由研究としてまとめる方法も紹介します。
これから犬を飼いたいご家庭にとっては、自分たちに合う犬を考えるヒントにもなるはずです。
犬種の「グループ」とは?
世界には、非公認犬種を含めて700〜800もの犬種が存在するといわれています。
一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)では、犬種を生まれた目的や用途、形態などによって10のグループに分類しています。
これは、見た目が似ている犬を集めただけのものではありません。
「何をするために生まれたのか」
「人とどのように関わってきたのか」
そんな犬たちの歴史を知るための分類でもあります。
それでは、10のグループを順番に見てみましょう。
1G:牧羊犬・牧畜犬
羊や牛などの家畜を集めたり、移動させたり、守ったりしてきた犬たちです。
代表的な犬種には、ボーダー・コリー、シェットランド・シープドッグ、ウェルシュ・コーギーなどがいます。
人の指示を聞きながら働いてきたため、周囲の動きに敏感で、学習意欲や運動欲求が高い傾向があります。
■ 自由研究のヒント
牧羊犬が、動く羊の先回りをするのはなぜでしょう。動画や図鑑で、その動き方を観察してみましょう。

2G:使役犬
番犬、警護犬、救助犬、そり犬など、さまざまな仕事を担ってきた犬たちです。
ドーベルマン、バーニーズ・マウンテン・ドッグ、セント・バーナード、ミニチュア・シュナウザーなどが含まれます。
体格や性質は犬種によって大きく異なりますが、人の仕事や暮らしを支えてきたグループです。
■ 自由研究のヒント
救助犬や警察犬は、どのような場所で、どんな仕事をしているでしょうか。

3G:テリア
土の中や巣穴にいるキツネ、ネズミなどの小動物を追う仕事をしてきた犬たちです。
ジャック・ラッセル・テリア、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、ヨークシャー・テリアなどが代表的です。
「テリア」という名前は、大地を意味するラテン語に由来するとされています。小柄でも活発で、物を追う、探す、穴を掘るといった行動が見られることがあります。
■ 自由研究のヒント
テリアの体の大きさや毛質は、巣穴で働くうえでどのように役立ったのでしょう。

4G:ダックスフンド
ダックスフンドだけで構成されるグループです。
ダックスフンドは、アナグマなどを巣穴から追い出す猟犬として活躍してきました。胴が長く脚が短い体形も、狭い穴の中で働いてきたことと関係しています。
■ 自由研究のヒント
ダックスフンドの体と、ほかの犬の体を絵に描いて比べてみましょう。脚や胴の長さには、どのような違いがあるでしょうか。

5G:原始的な犬・スピッツ
柴犬、秋田犬、ポメラニアン、シベリアン・ハスキー、サモエドなどが含まれます。
立った耳、巻いた尾、厚い被毛などを持つ犬種が多く、日本犬や、寒い地域で暮らしてきた犬もこのグループにいます。
犬種によって違いはありますが、自分で状況を判断する力や警戒心を持つ傾向が見られます。
■ 自由研究のヒント
寒い地域で生まれた犬の毛、耳、尾には、どのような特徴があるでしょう。

6G:嗅覚ハウンド
優れた嗅覚を使い、獲物のにおいを追跡してきた犬たちです。
ビーグル、バセット・ハウンド、ブラッドハウンドなどが代表的です。
散歩中に地面のにおいを熱心に嗅ぐ行動にも、その犬種が担ってきた仕事の名残が表れることがあります。
■ 自由研究のヒント
犬の嗅覚は、人の嗅覚とどのように違うのでしょう。現在も嗅覚を使って働いている犬について調べるのもおすすめです。

7G:ポインター・セター
鳥猟を手伝ってきた犬たちです。
ポインターは獲物のいる方向を姿勢で示し、セターは獲物の居場所を猟師に知らせてきました。
イングリッシュ・ポインター、イングリッシュ・セター、アイリッシュ・セターなどが含まれます。
■ 自由研究のヒント
獲物の方向を示す「ポイント」とは、どのような姿勢でしょう。写真を探して、顔や脚、尾の向きを観察してみましょう。

8G:7グループ以外の鳥猟犬
撃ち落とされた鳥を回収するレトリーバー、茂みから鳥を追い出すスパニエル、水辺で働くウォーター・ドッグなどのグループです。
ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、アメリカン・コッカー・スパニエルなどが含まれます。
人の近くで、人と協力しながら働いてきた犬たちです。
■ 自由研究のヒント
「レトリーブ」には、どのような意味があるでしょう。犬種の名前と仕事の関係を調べてみましょう。

9G:愛玩犬
人のそばで暮らし、心を和ませる伴侶として育まれてきた犬たちです。
トイ・プードル、チワワ、シー・ズー、パピヨン、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなど、多くの小型犬が含まれます。
ただし、「愛玩犬だから運動やしつけが必要ない」というわけではありません。どの犬にも、適切な運動、社会経験、お手入れ、家族とのコミュニケーションが必要です。
■ 自由研究のヒント
愛玩犬は、ほかの仕事をしてきた犬と比べて、体の大きさや人との関わり方にどのような違いがあるでしょう。

10G:視覚ハウンド
優れた視力と脚力を使って、動く獲物を追ってきた犬たちです。
グレーハウンド、ウィペット、ボルゾイ、アフガン・ハウンドなどが代表的です。
速く走るための細長い脚や深い胸など、ほかのグループとは異なる体つきをしています。
■ 自由研究のヒント
視覚ハウンドの体を、嗅覚ハウンドの体と比べてみましょう。得意なことの違いが、体のどこに表れているでしょうか。

夏休みの自由研究にまとめてみよう

調べたことを並べるだけでなく、自分なりの疑問や予想を入れると、自由研究らしくなります。
10グループをすべて詳しく調べるのが大変な場合は、気になった2〜3グループを選んで比べても構いません。
研究テーマの例
- 犬はなぜ犬種によって姿が違うのか
- 犬の仕事と体の形にはどんな関係があるのか
- 犬種の10グループを比べてみた
- 昔の仕事は、現在の犬の行動にも残っているのか
- わが家の暮らしに合う犬はどのグループか
基本的なまとめ方
- このテーマを選んだ理由
- 研究する前の予想
- 図鑑やウェブサイトで調べたこと
- 犬種グループの比較
- 気づいたこと、驚いたこと
- 自分の考え
- 参考にした本やウェブサイト
模造紙にまとめる場合は、「グループ」「もともとの仕事」「体の特徴」「代表的な犬種」を表にすると、違いが伝わりやすくなります。
JKCの各グループページから気になる犬を一頭選び、原産地や本来の用途をさらに詳しく調べてみるのもおすすめです。
犬の行動には理由がある
犬種の歴史を知ると、犬たちの何気ない行動にも理由があることが分かります。
よく走る。
においを追う。
動くものに反応する。
人の指示を待つ。
自分で判断しようとする。
そうした行動は、その犬がわがままだからではなく、かつての仕事と関係しているのかもしれません。
犬種のルーツを知ることは、犬の行動を理解し、その犬らしさを尊重するための第一歩です。
ただし、同じ犬種でも性格や行動は一頭ずつ異なります。育った環境、年齢、これまでの経験によっても変わります。
犬種グループは相性を考えるための入り口であって、「この犬種なら必ず飼いやすい」と決めるものではありません。
犬を迎える前に「わが家」についても研究しよう
自由研究をきっかけに犬を飼いたくなったら、次は犬ではなく「わが家」について調べてみましょう。
- 毎日、散歩やお世話に使える時間はどれくらい?
- お留守番は何時間になる?
- 家族の中で、誰が何を担当する?
- 住まいの広さやルールは?
- 食費、医療費、お手入れ代を継続して負担できる?
- 旅行や災害のときはどうする?
- 10年後、家族の生活はどうなっている?
見た目や人気だけで犬種を選ぶのではなく、家族構成、住環境、生活時間、費用、将来の変化まで考えることが、犬との幸せな暮らしにつながります。
犬を飼いたいと思ったら、プロと一緒に家族会議を
インターネットや図鑑で犬について調べることは、とても大切です。
けれど、集めた情報を「自分たちの家庭」に当てはめて考えるのは、意外と難しいものです。
One for Dogの「これから犬を飼う人の相談会」では、犬種選び、しつけ、費用、お手入れ、お世話の分担など、犬を迎える前に考えておきたいことをご家庭の状況に合わせて一緒に整理します。
まだ犬種が決まっていなくても大丈夫です。
「共働きでも飼える?」
「子どもはどこまでお世話できる?」
「わが家にはどんな犬が合っている?」
そんな最初の疑問から、プロと一緒に家族会議を始めてみませんか?

犬を迎える前に少し立ち止まって考えることが、その後の10年をもっと楽しく、幸せなものにしてくれるはずです。
※この記事の犬種区分および犬種情報は、一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)の公開情報を参考にしています。犬種ごとの特徴には個体差があります。


