近ごろ、SNSでも「トリミング中に咬んでしまった」「お断りされてしまった」という投稿を目にすることが増えてきました。
でも、犬たちは“わざと人を困らせよう”なんて思っていません。
ほとんどの犬は、恐怖や混乱の中で“苦渋の決断”として咬んでしまうのです。
■ 犬が咬むとき、そこには理由があります
犬の攻撃行動には、いくつかの種類があります。
- 優位性攻撃
- 防御性攻撃
- 捕食性攻撃
- 遊戯性攻撃
トリミングやお手入れ中に見られるのは、ほとんどが「防御性攻撃」。
つまり、「怖い」「やめてほしい」「どうしたらいいか分からない」という気持ちから出る行動です。
犬は本能的に、いきなり本気で咬むことはありません。
実は、そこに至るまでにはいくつもの“サイン”があるのです。
- 嫌なことをされた(嫌な部分を触られた)
- 体を小さくしてうずくまる(カーミングシグナル)
- 犬歯を見せる
- 唸る
- 空咬みする
- 甘咬みする
- 本気咬みする
このように、犬たちは「やめてほしい」と何度も伝えています。
それでも気づいてもらえなかったり、逆に叱られてしまうと、「この人にはサインが通じない」と判断して防御に出るのです。
■ “噛み犬”をつくってしまうのは、犬ではなく人間
「うちの子、ブラッシングすると咬むんです」
——そんなとき、犬たちはこう思っているかもしれません。
「ぼくのサインを無視したのは、そっちじゃないか?」
サインを無視された経験を重ねると、犬は「先に守ろう」と学習します。
- もつれを梳かされる前に咬む
- ブラシを見たら咬む
- 体を触られたら咬む
こうして「咬むしかない」と思い込んでしまうのです。
つまり、噛み犬は“気性”ではなく、環境がつくる結果なのです。
■ トリミングが嫌いになった犬を“戻す”のは困難
One for Dogでも「お手入れ教室」という、飼い主さん向けのトリミング講座を行っています。
ですが、経験の浅い方が犬のサインを受け取るのは簡単ではありません。
犬は人間の緊張や不安を敏感に感じ取る生き物です。
ベテラントリマーとの間には、どうしても大きな差が生まれます。
もし愛犬がトリミングを嫌いになってしまったなら、“悪いのは犬ではなく人間側に原因がある”という前提で、リハビリを引き受けてくれるトリマーさんを探すしかありません。
噛み犬を“問題児”として笑い話にするのは、犬への冒涜です。
むしろ「自分が何を見逃してきたか」を振り返ることが、愛犬家としての第一歩です。
■ トラブルを防ぐためにできること
そこで大切なのが、「社会化期の学び」です。
One for Dogの「はじめてトリミング」では、子犬のうちからトリミングを“日常の一部”にする練習を行います。
- 嫌なことをされた(嫌な部分を触られた)
この最初の段階を“無効化”することが目的です。
「トリミングは怖くない」「気持ちいい体験」と感じさせてあげる。
それが未来の噛み犬をつくらない、最良の予防策です。
■ 飼い主さんにできるもうひとつの備え
もうひとつの方法が、飼い主さん自身が“お手入れを学ぶ”こと。
「トリマーさんに断られたから自分でやる」のは無謀です。
プロが危険と判断したケースを、自己流で改善するのは難しい。
だからこそ、断られる前に学ぶことが大切です。
「お手入れ教室」は、転ばぬ先の杖。
トリマー・飼い主・犬、三者の信頼関係を築くための教室です。
■ まとめ
犬が咬むのは「攻撃」ではなく「防衛」です。
その背景には、人間側の“理解不足”があることを忘れてはいけません。
噛み犬を生まない社会とは、犬に我慢を強いる文化ではなく、犬の声を聴こうとする飼い主が増える社会だと思うのです。
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