犬を迎えるならペットショップ?ブリーダー?

ブリーダー施設で親犬や仔犬の育つ環境を見学する家族 愛犬文化ジャーナル

“正解探し”をする前に知っておいてほしいこと

「犬を飼いたい」

そう思ったとき、多くの方が最初に悩むのが、

  • ペットショップから迎えるべきか
  • ブリーダーから直接迎えるべきか

という問題ではないでしょうか。

最近ではSNSを中心に、

「ペットショップ=悪」
「ブリーダー=安心」

といった極端な情報も増えています。

ですが、30年以上この業界を見てきた立場から、最初にお伝えしたいことがあります。

それは、
“どこから迎えるか”だけでは、後悔は防げない
ということです。

大切なのは、
どんな人から迎えるのか
そして、迎える側がどんな知識を持っているか。

この記事では、ペットショップとブリーダー、それぞれの役割や違いを整理しながら、「後悔しない犬の迎え方」についてお話しします。

ペットショップが悪と言われる理由

近年、ペットショップに対する批判が強まった背景には、いくつかの理由があります。

  • 命を商品として並べているように見える
  • 流通の過程が見えにくい
  • 売れ残りや、その後の行き先への不安

こうした声が出るのは、もっともな部分もあります。
実際、業界の中に課題があることは否定できません。

ただし、ここで一度立ち止まって考えてほしいのです。
「ペットショップ」という言葉が指している範囲は、あまりにも広い。

ひとくちにペットショップと言っても、

  • どんな基準で仕入れているのか
  • 誰がその判断をしているのか
  • 迎え入れ後、どこまで関与しているのか

これらは店舗ごとに大きく異なります。

ペットショップとブリーダーの違いとは

ペットショップとブリーダー施設の違いを比較したイメージ

まず整理しておきたいのは、
ペットショップもブリーダーも、どちらも営利事業である
という事実です。

ブリーダーは慈善事業ではありません。
ペットショップも同様です。

違いがあるとすれば、それは

  • 役割
  • 立場
  • 犬と関わる工程

です。

ブリーダーは、交配・出産・育成という工程を担います。
一方、ペットショップは、迎え手と犬をつなぐ役割を果たしてきました。

問題は、
その役割が、きちんと機能しているかどうか
なのです。

昔のペットショップが担っていた役割

少し昔の話をします。

かつてペットショップは、
“目利きができる人間が、信頼するブリーダーから犬を迎える場所”
でした。

私の祖母もブリーダーで、私はペットショップ畑で育った人間です。

当時は、

  • この犬種は、このブリーダーからしか仕入れない
  • 同じ血統でも、どの子を迎えるか慎重に選ぶ

そうした関係性が当たり前に存在していました。
同胎犬(同じ両親から生まれた兄弟姉妹)であっても、

  • 骨格
  • 気質
  • 体の強さ

に差が出ることは珍しくありません。

その中で、
「どの子を世に出すか」
を見極める役割を担っていたのが、本来のペットショップだったのです。

なぜ、その仕組みが崩れてしまったのか

時代が進み、状況は大きく変わりました。

  • ミックス犬の台頭
  • 血統書の価値の変化
  • 人気犬種が“売れてしまう”時代

これにより、

  • ブリーダーのこだわりが評価されにくくなり
  • 目利きができなくても商売が成立する

そんな環境が生まれてしまいました。

結果として、
プロフェッショナル同士の信頼関係
が、業界全体で薄れてきたのも事実です。

ブリーダーから直接迎えるという“特権”

ブリーダーと会話をしながら犬を迎える相談をする日本人夫婦

近年、「ブリーダーから直接迎えたい」という方が増えています。

実際、One for Dogで開催している「これから犬を飼う人の相談会」でも、ブリーダーから迎えるケースは年々増えています。

これは、とても良い流れだと思っています。
ブリーダーから直接迎える最大の特権は、

  • どんな環境で交配され
  • どんな環境で生まれ
  • どんなふうに育てられているか

そのすべてを、自分の目で見られることです。

そして、それらはすべて
ブリーダーの思想の現れ
でもあります。

ブリーダー見学で、本当に見てほしいこと

私は、ブリーダー見学へ行く方に、必ずこうお伝えしています。

「仔犬ばかり見ないでください」
「どんな仔犬がいるかは後でいい」
「まずは、どんな想いでブリーディングをしている人なのかを見てください」

ただ産ませ、ただ譲るのか。
それとも、

  • この子はどんな家庭に合うだろう
  • どんな性格に育つだろう

そんなことを本気で考えているのか。
それは、

  • 飼育環境
  • 犬舎の空気
  • ブリーダー本人の言葉

に、必ず表れます。

「ブリーダーだから安心」ではない理由

ここで、ひとつ大切なことをお伝えします。
ブリーダーから迎えれば安心、というわけではありません。

ブリーダーも人間です。
経験も、知識も、倫理観も、千差万別です。

  • 丁寧に育てている方
  • 教育まで含めてサポートしてくれる方

がいる一方で、

  • 無知な買い手につけ込むケース
  • 説明を省き、都合のいい部分だけを話すケース

が存在するのも事実です。

だからこそ、
知識と作法を持って訪ねること
が、非常に重要になります。

仔犬選びで起きやすい“すれ違い”

一般の方が陥りやすいのが、
“今いる仔犬の中から選ぼうとする”
という考え方です。

一方、私たち業界側は、
“今回の出産に希望条件が合わなければ、次を待つ”
という判断をします。

半年後、一年後の成長を、経験のない方が見抜くのは正直難しい。

だからこそ、
仔犬より先に、人を選ぶ
という視点を持ってほしいのです。

ペットショップもブリーダーも、“立ち回り次第”

ここまで読んでいただいた方なら、もうお気づきかもしれません。

ペットショップだからダメ。
ブリーダーだから安心。

そんな単純な話ではありません。

重要なのは、
そこに関わる人の姿勢と、迎える側の知識です。

それでも迷う方へ

正直なところ、

  • 今のタイミングで犬を飼っていいのか
  • どんな犬種が合うのか
  • どこで迎えるべきか

これを、第三者の立場で正直に教えてくれる場所は、実はあまり多くありません。

なぜなら、

ペットショップは“売る立場”
ブリーダーは“譲る立場”

だからです。

One for Dogでは、「これから犬を飼う人の相談会」を通じて、

  • 犬を迎える前の準備
  • 家族構成との相性
  • 犬種や迎え方の考え方

を、学びと一緒にお伝えしています。

転ばぬ先の杖として、ぜひご活用ください。

これから犬を飼う人の相談会
犬を飼いたいと思ったら、プロといっしょに家族会議を。犬種のこと、しつけのこと、費用のこと。インターネットにはたくさんの情報があります。けれど、あなたのご家庭に当てはめて整理する場所は、意外とありません。共働きでも大丈夫?子どもはどこまでお世…

一般論ではない、“あなたの家族”にとっての最適解を

犬を飼うことは、人生をともにする家族を迎えることです。

だからこそ、
まずは「用意するもの」から始めるのではなく、

「どう迎えるか」

から考えてほしい。
その想いで、この記事を書きました。

あなたと、これから迎える愛犬が、幸せなスタートを切れることを願っています。