「犬の殺処分はなぜなくならないのか?」小学6年生の自由研究から考える犬文化の未来

小学生が「犬の殺処分はなぜなくならないのか」をテーマに自由研究へ取り組む様子。犬の命について考えながら絵を描く後ろ姿。 愛犬文化ジャーナル
小学6年生の自由研究「犬の殺処分はなぜなくならないのか?」を監修
様々な文化向上を目指すには子どもたちの教育からはじめなければいけないことは周知の事実です。たまたま興味を持ってくれた息子に「夏休みの自由研究」という大義名分をお借りして啓蒙する機会をもらいました。デリケートなテーマですが、日本特有であるペッ…

これは、著者である僕の息子が、小学6年生の夏休みに「犬の殺処分はなぜなくならないのか?」というテーマで取り組んだ自由研究を紹介した記事です。

実はこのページ、毎年夏休みが近づくとアクセスが増える記事のひとつです。

「自由研究のテーマを探している。」
「犬について親子で学びたい。」

そんな方に読んでいただいているのかもしれません。

そこで今回は、この自由研究を改めて振り返りながら、「なぜ犬の殺処分はなくならないのか」、そして私たちにできることについて考えてみたいと思います。

自由研究の構成を深掘りしてみる

小学6年生がまとめた「犬の殺処分はなぜなくならないのか」の自由研究。研究を始めた理由や埼玉県の殺処分数の推移、行政の取り組みをまとめた実際の資料。

① 研究をはじめた理由

きっかけは一本のテレビ番組でした。

捨てられた犬の保護活動やボランティアの取り組みに興味を持った息子。

そこから「なぜ殺処分はゼロにならないのか?」という素朴な疑問が生まれ、小学6年生なりに調査を始めました。

犬猫「殺処分ゼロ」道半ば 実現には官民連携が重要 – 日本経済新聞
保護した犬・猫の殺処分ゼロを達成する自治体が首都圏で広がっている。神奈川県や千葉市に続き、東京都も2018年度末で達成したと発表した。動物愛護団体の協力などで引き取り手が増えたことが寄与したが、数字に表れない安楽死があるとの指摘もある。幅広…

② 調査結果

埼玉県の公式データをもとに、殺処分数の推移をグラフにまとめました。

数年間で大きく減少していることを視覚的に表現しながら、その背景となる自治体の取り組みにも目を向けています。

数字を調べるだけではなく、「なぜ減っているのか」まで考えようとしていた点が、この自由研究の特徴でした。

犬猫の殺処分数

③ 埼玉県の取り組み

飼い主への返還促進。
譲渡機会の拡大。
安易な引き取りを減らす取り組み。

行政がどのような努力を続けているのかを調べ、「殺処分を減らすには、人の行動が変わることが必要なんだ」ということをまとめています。

動物指導センター – 埼玉県

④ その一方…

一方で、殺処分数が減っているからといって、すべての問題が解決したわけではありません。

保護される犬。
新たな飼い主を待つ犬。
さまざまな事情で飼えなくなってしまう家庭。

子どもなりに、「社会課題は一つの取り組みだけでは解決しない」ということを理解しようとしていた跡が見えてきます。

環境省_動物の愛護と適切な管理

日独の犬の迎え入れ方の違いを図解

日本とドイツの犬の迎え方の違いを表現したイラスト比較図

研究の中でも印象的だったのが、日本とドイツの犬の迎え方を比較したページです。

ドイツ

  • ブリーダーや保護団体が飼育環境を重視する
  • 飼い主との面談を行う
  • 条件に合わない場合は譲渡しないこともある

日本

  • 人気犬種が流通の中心になりやすい
  • 家族の生活との相性まで考える機会が少ない場合もある

息子は、この違いを調べた上で、

「ペットショップだけが悪いのではなく、家族でよく話し合ってから犬を迎えることが大切。」

という考えをまとめていました。

小学6年生なりに、「誰かを悪者にする」のではなく、「どうすればもっと良くなるのか」を考えていたことが印象に残っています。

犬を迎える前に考えてほしいこと

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夏休みの自由研究で犬について学ぶ小学生。日本の一般家庭のダイニングテーブルで、両親と一緒に犬の本やノートを広げながら楽しそうに話し合っている。テーブルには色鉛筆や自由研究ノートが並び、隣ではトイプードルが穏やかに家族を見守る。「犬を迎える前に学ぶこと」の大切さが伝わる温かな家庭風景。

「犬を捨てよう」と思って迎える人はいません。

それでも、結果として飼えなくなってしまう家庭はあります。

その背景には、「犬との暮らしを十分にイメージできていなかった」というケースが少なくありません。

例えば、

  • 成犬になった時の大きさ
  • 毎日の散歩やお世話
  • 食費や医療費
  • しつけや社会化
  • 高齢になった時の介護

犬と暮らすということは、何年にもわたる責任を引き受けることでもあります。

だからこそ僕が大切だと思っているのは、「レスキューする前」だけではなく、「迎える前」の教育です。

犬との暮らしをできるだけ具体的にイメージしてから迎える。

その積み重ねこそが、結果として殺処分を減らすことにつながると考えています。

犬の種類や特徴にも注目

ジャパンケネルクラブによる犬種分類を表にまとめた図解

研究の終盤では、ジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種区分をもとに、それぞれの犬種の特徴や役割についてもまとめています。

犬にはそれぞれ得意なことがあります。

運動量。
性格。
被毛のお手入れ。
暮らし方との相性。

「かわいいから」という理由だけではなく、その犬種がどんな歴史を持ち、どんな役割を担ってきたのかを知ることも、犬を理解する第一歩です。

一般社団法人 ジャパンケネルクラブ
ジャパンケネルクラブの 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ について紹介しています。

まとめの一文に込めた想い

自由研究の最後には、こんな言葉が書かれていました。

「その犬のことをよく知らないで飼うと、最後は犬だけがかわいそうになる。」
「ペットショップ・ブリーダー・飼い主が、みんなで犬のことを考えられるようになれば、殺処分もなくなると思います。」

この自由研究を書いたのは、小学6年生だった息子です。

あれから年月が経ちましたが、この最後の一文だけは、今でも変わらず大切にしています。

「犬を助けること」ももちろん大切です。

しかし、その前に「犬を不幸にしない迎え方」を広めること。

僕がOne for Dogで「これから犬を飼う人の相談会」を続けている理由も、まさにここにあります。

この夏、自由研究のお手伝いもしています

毎年夏になると、この自由研究の記事をご覧いただく方が増えます。

その中には、

「犬について調べてみたい。」
「将来、犬を飼ってみたい。」

そんな子どもたちや親御さんも多いのではないでしょうか。

One for Dogでは、普段から「これから犬を飼う人の相談会」を開催しています。

その目的は、犬を飼うことを勧めることではありません。

犬との暮らしを具体的に知り、本当に家族として迎えられるのかを一緒に考えることです。

そして夏休みの期間中は、自由研究で犬について調べているお子さんや親御さんからのご相談にも、可能な範囲でお応えしています。

もちろん、自由研究の答えを教えることが目的ではありません。

調べ方のヒントをお伝えしたり、一緒に考えたり、実際に犬と暮らす中で感じていることをお話ししたり。

そんな時間が、子どもたちにとって「命と向き合う学び」になれば嬉しく思っています。

犬の殺処分という問題は、保護活動だけで解決するものではありません。

犬を迎える前に正しく知ること。

家族で話し合うこと。

そして、

「どんな犬を飼いたいか」ではなく、「どんな飼い主でありたいか」。

その積み重ねが、より良い犬文化につながると僕は信じています。

もしこの夏、

「自由研究で犬について調べてみたい。」

「いつか犬を迎えたいので、親子で話を聞いてみたい。」

そんな方がいらっしゃいましたら、お気軽に「これから犬を飼う人の相談会」へご相談ください。

夏休みだからこそできる学びを、一緒につくっていけたら嬉しく思います。

これから犬を飼う人の相談会
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