暑い日が続くと、お散歩の時間も限られがち。 それでも少しのタイミングを見つけて、愛犬たちは嬉しそうにお散歩へと出かけます。
草むらに顔を突っ込んだり、地面をくんくんしたり…
しかし、そんな自然とのふれあいが、思わぬトラブルを引き起こすかもしれません。
\ ノミ 注意報 が出ています!/コロナ禍以降、ノミ問題が急増中?

コロナ渦のアウトドアブームがきっかけで、愛犬を連れてキャンプや山、川、海へ行く機会が増えました。
その影響か、近年ノミに関する相談や感染事例が急増しているように感じます。
山や自然エリアにいるノミの中には、通常の予防薬が効きにくい“耐性の高い個体”も存在します。
例えば、2021年の研究によると、一部のノミ種に対してフィプロニルなどの有効成分に対する抵抗性が認められたと報告されています(参考:Veterinary Parasitology, 2021)。
さらに、愛犬がそれらのノミを宿主として都会へ持ち帰り、散歩コースや公共の場所に持ち込むという懸念もあります。
また、野良猫や地域猫が庭先を訪れることによって、家庭の敷地にノミが持ち込まれているのではないか――というのが僕の仮説でもあります。
これは科学的にも裏付けがあり、環境中でノミが繁殖・生存できる条件(適度な湿度と温度、宿主の存在)が整っていれば、外部からの侵入により家庭の敷地で定着することもあると報告されています(Environmental Entomology, 2019)。
予防薬を使っていても、ノミはいつしかやってくる
予防方法 | 即効性 | 持続期間 | 使用タイミング | 弱点 |
---|---|---|---|---|
スポットタイプ | △ | 約1か月 | 月1回 | 効果発現までに時間がかかる |
錠剤タイプ | ○ | 約1か月 | 月1回/季節 | 吸血後にしか効かない |
スプレータイプ | ◎ | 短期間 | 外出前 | 被毛が濡れるのを嫌がる犬も |
先日、こんなご相談が届きました。
「実家の猫にノミがついていて、どうやらウチの子にも感染ったみたいなんです…」
この方は、ちゃんとノミ・マダニ予防薬を使っていたそうです。
それでも感染。
実はこれ、珍しい話ではありません。
多くの飼い主さんが口にするのは「予防薬を飲んでいるから大丈夫だと思った!」という言葉。
しかしその過信が、思わぬ事態を引き起こしてしまうことがあるのです。
ノミの予防薬は「完全予防」ではなく、「駆除サポート」が主な働き。 中でもスポットタイプや首輪タイプは効果が出るまでに時間がかかることもあり、接触した瞬間にノミを無効化するものではありません。
フロントライン社の公式サイトでも、
「100%予防できるものではありません。特に山や川などの個体にはスプレータイプとの併用をオススメしています。」
と明記されています。
ちなみに経口タイプ(錠剤)の予防薬も“ノミが吸血した後に駆除する”という仕組みのため、刺されるリスク自体は防げません。
さらに近年の研究では、イソキサゾリン系成分に対する耐性の兆しを見せるノミ個体も報告されており、経口薬だから安心とは言い切れない時代になってきています。(出典先:Rust MK, “Insecticide resistance in fleas.” Journal of Medical Entomology, 2017.)
ノミが媒介する疾患とそのリスク

ノミは、吸血行動によって激しいかゆみを引き起こすだけでなく、以下のような病気を媒介します:
- ノミアレルギー性皮膚炎(FAD)
- 瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)
- 貧血(特に子犬や小型犬)
- バルトネラ症(人獣共通感染症)
つまり、”たかがノミ”では済まされないのです。
ノミを見つけたら?応急処置の方法

診療時間外やすぐに病院に行けない時には、以下の応急処置が有効です:
1. ノミ取りシャンプー
即効性があるのはノミ取りシャンプー。市販のものでも一定の効果がありますが、以下の点に注意してください。
- しっかり濡らすこと:ノミは溺れさせて退治するため、水分をたっぷりと。
- シャンプー液をしっかり浸透:皮膚まで届くようにマッサージ。
- 乾かすときは白いタオルを:生き残ったノミが飛び出す可能性があるため、確認しやすいように。
- 完全に乾かす:生乾きは皮膚炎の原因に。
ノミが大量にいるようであれば、夜間救急も検討しましょう。
トリミングサロンにおける影響
ノミはトリミングサロンにとっても天敵です。
一匹でも店内に持ち込まれてしまうと、
- 他の犬への感染リスク
- ノミアレルギーのある犬への重大な被害
- 店内での繁殖・拡散
と、営業停止にまで追い込まれるリスクがあります。
そのため、トリマーたちはこの季節、戦々恐々としながら接客を行っています。
One for Dogでも、年に一度ほどノミを発見するケースが出てきており、その際は店舗を早々にクローズし、年末の大掃除並みの消毒作業を実施しています。
ノミの繁殖を防ぐには?

ノミは卵・幼虫・さなぎ・成虫と変化しながら、家の中で1~2か月生存する可能性があります。
以下の予防と対策を徹底しましょう:
- 毎月の予防薬(スプレー・スポット・内服)
- お散歩後のチェック(特に足回りとお腹)
- ベッドやカーペットの掃除・洗濯
- 多頭飼育の場合は全頭に同時対策を
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ノミ取りシャンプーも、やり方次第で効果が大きく変わります。
One for Dog の「お手入れ教室」では、
- 正しいシャンプー方法
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まとめ
- ノミ予防薬は万能ではない
- 山や草むらでは感染リスクが高まる
- 耐性を持つノミも確認されている
- ノミは家庭や公共の場に持ち込まれる可能性がある
- 野良猫などが媒介している可能性もある
- 応急処置にはノミ取りシャンプーが有効
- ノミの拡散はトリミングサロンの営業にも影響
- 飼い主自身が正しい知識と技術を学ぶことが、愛犬を守る第一歩!
“まさか令和のこの時代に…”ではなく、
「今この時代だからこそ」ノミ対策の見直しを。
あなたの行動が、愛犬を守り、地域の犬たちを守ります。