「最近、うちの子も歳をとったなぁ」
そう感じたとき、食事や運動に気を配る方は多いと思いますが、実は“トリミング”も同じように見直しが必要なんです。
今回は、年齢とともに変化する“ シニア犬 カットスタイル ”について、ドッグショーの世界やトリマー目線も交えながら、飼い主さんに知っておいてほしい視点をお届けします。
犬のスタイルに“引退”はあるのか?
ドッグショーに出る犬たちには、犬種ごとに決められた“スタンダード(犬種標準)”があります。
たとえば、

「シーズー」
フルコート(被毛を一切カットしない)

「ミニチュアシュナウザー」
ストリッピング(毛を抜いて硬くする)

「プードル」
ショークリップ(顔や足にバリカンを入れるデザイン)
これらは美しさだけでなく、その犬種の本来の姿を保つためのスタイル。
しかし、ショー活動にも“引退”があります。
多くの犬は高齢になるとショーから退き、家庭犬として穏やかな生活に戻ります。
そのときに行われるのが“カットダウン”と呼ばれるスタイル変更。
毎日の被毛管理を楽にするため、短く切ってしまうのです。
一方、家庭犬には「引退」がない!?
ドッグショーでは「引退」という明確な区切りがある一方で、私たちの愛犬たちにはそれがありません。
若いころから続けてきたスタイルを、シニアになってもそのまま維持している…というケース、意外と多いのではないでしょうか?
ですが、犬も年齢を重ねるごとに、
- 長時間立っていられない
- 被毛が細くなって形がキープできない
- 足腰・皮膚・呼吸器などに負担がかかる
といった身体の変化が起こります。
だからこそ、「今のうちの子に合ったカット」を選ぶことが大切なんです。
年齢に応じたスタイルチェンジという選択
私たち飼い主は、“自分の好み”や“流行”だけでなく、
- 愛犬の体調や気力
- トリミング時間の負担
- 皮膚や関節への影響
といった点をトリマーさんと一緒に見極めながら、年齢に合ったスタイルを選ぶ必要があります。
カットスタイルを変えることは、「あきらめ」ではなく、「ケア」や「思いやり」のひとつ。
飼い主さんとトリマーさんの対話の中で、“今のうちの子にとってベストな形”を一緒に探していけたら素敵ですね。
最後に|引退なき世界で生きる愛犬たちへ
人間にも、年齢に応じた髪型やスタイルがあるように、犬たちにも“似合う年齢”や“心地よい形”があります。
若いころは好みを楽しむスタイル。
シニア期には快適さを重視したスタイル。
そんな風に、愛犬の年齢に寄り添いながら、“引退なき世界”でもずっと幸せに暮らせるカットを選んでいきましょう。