少し重たいテーマですが、大切なことなのでお話させてください。
先週、お客様の愛犬が天国へと旅立ちました。
子犬の頃から担当させていただき、今年で9歳。
シニア期ではありましたが、それでも早すぎる旅立ちでした。
しかも、訃報を受けたのはちょうどオンラインサロンの生配信日。
その夜、僕なりのペットロスに対する考え方をお話しました。
「死」を教えてくれたのは愛犬たち
僕の祖母は、にわかブリーダーでした。
そのため、生まれたときから犬に囲まれ、愛犬との暮らしは人生と常に一緒でした。
つまり、僕にとって「死」を最初に教えてくれたのは、親族よりも先に歴代の愛犬たちです。

中でも、一人暮らしを始めてから初めて自分の意思で迎えた愛犬との別れは忘れられません。
その子は脾臓のガンで、腫瘍は全身に転移。最期は脳にまで及び、両目の眼球が破裂を繰り返すという壮絶な闘病生活でした。
手の施しようがない状態の中、僕たちは延命手術ではなく、「最期まで家で過ごす」ことを選びました。
「いつ破裂してもおかしくない」という恐怖と向き合いながら、その時を静かに見守りました。
これは、命と向き合う仕事を選んだ僕にとって、愛犬から託された最後の宿題でした。
ペットロスを和らげる考え方
そんな僕がペットロスにならずに済んだのは、ある考え方に出会っていたからです。
20年ほど前、ニューヨークで活躍する日本人ドッグトレーナーから聞いた話です。
彼は最愛の愛犬が今夜にも旅立つかもしれない状況でしたが、こう言いました。
「大丈夫です。家族が看取ってくれますし、この日のために、たくさん準備してきましたから」
彼はこう続けました。
「ペットロスの多くは、“もっとこうしてあげればよかった”という後悔から来ます。
だから僕は、日々たくさんの思い出を作ってきました。
最期の夜に『あんなこともしてあげた、あんな場所にも連れて行けた。うちに来て幸せだったね』と振り返ることができれば、後悔なんて吹き飛ばせます。」
この言葉が、僕の支えになりました。
ペットロス 後悔しない 別れのために
最期の日、僕は位牌の前で一晩泣きじゃくりました。
でも、「きっとお互い幸せだったよね」と思えたから、心は落ち着いていた気がします。
だからこそ、僕はこの考え方を多くの飼い主さんに伝えたい。
そして、そのために提案しているのが「愛犬との趣味づくり」です。
犬は感情にとても敏感な生きもの。
天国に行ってまで飼い主さんを心配させないように──
「うちの子、幸せだったよ」と笑って伝えられるように、今からたくさんの思い出を作っていきましょう。