今年も残りわずか。
街にはクリスマス商戦、年末年始の初売りセール……と、相も変わらず“購買意欲をそそる季節”が続いています。
筆者としては皮肉まじりにこの言葉を使いますが、実際この時期は新米飼い主さんが増える季節でもあります。
「飼い始めの注意点は頭に入っている」は本当か？
近年は、犬を迎える際にペットショップでの「重要事項説明書」の交付と事前説明が義務化されています。
これは「動物の愛護及び管理に関する法律（動物愛護管理法）」の改正によるもので、販売者は購入希望者へ、犬の特性・健康・飼育に必要な事項を記載した書面を使い、事前に説明することが必須となりました。
そのため、以前と比べると、飼いはじめの注意点を一定理解している飼い主さんは増えています。
しかし――
その説明の中に、重大な抜け落ちがあります。
子犬を迎えたらまず動物病院へ。しかしその次は？
子犬を迎えたご家庭が真っ先に利用するのは、ワクチン接種のための動物病院です。
そのため、病院探し・予約までは皆すぐ動きます。
では、トリミングサロンはどうでしょう？
生後2ヶ月前後の子犬は、
・体がまだ小さく、ベビーコートで毛玉になりにくい
・散歩もまだのため汚れが少ない
・被毛の伸びも気にならない
こうした理由で、「トリミングはまだ先でいい」と後回しにされがちです。
しかし、サロンの“空き枠”はそんなに甘くない
検索すれば、トリミングサロンはたくさんヒットします。
そのため、新米飼い主さんは
「こんなにあるなら、時期が来たら予約できるだろう」
と安心しがちです。
しかし、現場の実態はまったく逆。
予約が取れない3つの理由
① ペット業界全体の人材不足
② トリマーの離職率の高さ
③ 年末など繁忙期の満席状態
これらが重なり、「そもそも予約が取れない」というケースが多発します。
2ヶ月前から予約できるのに、なぜ皆後回しにするのか？
新米飼い主さんは、
「まだ利用時期じゃないし、直前でいいよね」
と考える傾向があります。
しかしサロン側の本音はまったく逆で、
予約は、早ければ早いほどありがたい。
理由は、犬の体調不良などによる急なキャンセルが当たり前に起きるため。
そのため、
・仮予約
・先々のキープ
・とりあえず押さえておく
といった予約でも、サロンは歓迎しています。
サロンが“新規飛び込み”を嫌がる本音
新規の子を受け入れる際、サロンには確認すべき重要事項が多くあります。
飼い主について
・好みのオーダー
・仕上がりのイメージ
・お迎え時間の段取り
子犬について
・健康状態
・毛玉・皮膚の状態
・性格や触られ方の得意不得意
こうした情報がゼロのまま当日に飛び込まれると、
その後の予約全体の流れが崩れるリスクが出てきます。
そして、
トラブルや事故は“飛び込み新規”で起きやすい。
これは、多くのサロンが飛び込みを避けたい最大の理由です。
さらに、トリミングは「その子だけ」を見る仕事ではありません。
同時間帯に店内にいる他の愛犬との相性（マッチング）、
店内の動線、作業台の配置、スタッフの稼働状況など、
複数のケースを想定して準備する必要があります。
・怖がりな子をどの時間帯に入れるか
・他犬と重ならない導線をどう確保するか
・初回カウンセリングにどれくらい時間を割くか
これらは事前予約があってこそ緻密に調整できるもの。
つまりサロン側は、
「予約を埋めたい」のではなく
「安全に作業するための準備をしたい」
という理由で、飛び込みを嫌がるのです。
結論：子犬を迎えたら“病院予約”と“ トリミング 予約 ”はセットで
トリミングサロンは「必要になったら探す場所」ではありません。
ワクチン接種の予約と同じタイミングで、
サロン探しと初回予約を済ませておくことが理想です。
利用が先でも構いません。
多くのサロンは“仮予約”でも快く受け付けてくれます。
これから犬を迎える方へ
トリミング予約は、飼い主さんが思っている以上に“早さ”が大事です。
病院と同じように、サロンも「迎えたその日から準備しておく」ことが、愛犬の安全と安心につながります。
とはいえ、
「どのサロンを選べばいい？」
「子犬を迎える前に何を知っておくべき？」
そんな不安や疑問が出てくるのは当然です。
そこで One for Dog では、
犬を迎える前のご家族のための『これから犬を飼う人の相談会』 を定期開催しています。
・犬種の選び方
・生活スタイルとの相性
・最初に準備すべきもの
・サロンや病院の選び方
・育て方のポイント
など、迎える前に知っておくと確実に安心できる内容を、専門家が丁寧にお伝えします。
「迎えてから困る」のではなく、
「迎える前に整える」ための時間にしていただければと思います。