広い芝生の公園でビヘイビアリストが犬の行動を観察しながらメモを取り、周囲では複数の犬が自由に探索している様子。

ドッグビヘイビアリストとは?犬の行動を“科学”から読み解く専門家

今回は、読者の方からいただいたリクエストにお応えして「ドッグビヘイビアリスト」について深掘りしてみます。

……とは言うものの、正直に告白すると、僕自身もこの言葉を聞いた当初は、「なんとなく“問題行動の専門家”なのかな?」程度の理解でした。

そこで今回は、僕も一緒に学びながら、ドッグビヘイビアリストという存在を整理していきたいと思います。

犬を愛する皆さんと一緒に、“犬の行動を科学的に理解する”という視点を共有できたらうれしいです。

ドッグビヘイビアリストとは ?

日本人の男性が明るいリビングで複数の犬の行動を記録しながら、知育玩具を使ったトレーニングを行っている場面。

欧米で発達してきた職能で、犬の行動を科学的に分析する専門家のことを指します。

扱うのは「行動のメカニズム」。
吠える、噛む、怯えるといった表面上の行動ではなく、その裏側にある“理由”を科学的に読み解くのが役割です。

行動学(Applied Animal Behavior)や応用行動分析(ABA)を基盤とし、犬が不安やストレスを抱えずに生活できるよう、根本原因から介入します。

ドッグトレーナーとどこが違う?

ビヘイビアリストは“行動の理由”を扱い、一般的なトレーナーは“行動の教え方”を扱う……
このように区別されることが多いです。

もちろん双方が重なる領域もありますが、ドッグビヘイビアリストはより“行動科学”に寄った立場の専門家です。

日本で誤解されがちな理由

日本では国家資格も明確な定義も存在しません。
そのため、
「問題行動を扱うトレーナー=ドッグビヘイビアリスト」
と混同されがちです。

しかし本来のビヘイビアリストは、行動観察・記録・分析・環境設定・ストレスマネジメントなど、科学的手法を用いる専門職です。

僕の持論:問題行動の“改善”よりも、そもそも困らない環境づくりを

日本人の女性が、落ち着いた室内で柴犬の頭をそっと撫で、愛犬の不安をケアしている場面

ここからは僕自身の考えですが、犬と暮らす上で本当に大切なのは、問題行動が「起きてから」直すのではなく、“起きないように準備しておくこと”だと思っています。

行動学を深く学ぶと、犬が困った行動を選択してしまう背景には必ず“理由”があります。

そして多くの場合、それは飼い主さんが少し知識を持っていれば未然に防げるものばかりです。

つまり、

根本原因を知ることは大事だが、それを「いつ知るか」はもっと大事。

これこそ、僕がずっと大切にしてきた考え方です。

One for Dog が“飼い主教育”にこだわる理由

明るいリビングで、日本人の家族が子犬を囲んでやさしく触れ合いながら、安心できる環境づくりをしている様子。

行動学を学んでいくと、「犬が変わる前に、飼い主が変わる」という順番がいかに大切かがよく分かります。

だからこそOne for Dog のしつけ教室は、“飼い主さんが学ぶしつけ教室”というスタイルを採用しています。

問題行動への対処法を教える教室ではなく、犬が“困らないための基礎教育=コミュニケーション力”に力を入れています。

これらはすべて、行動学の土台にある考え方です。

「はじめてトリミング」も、実は行動学の実践

初めてのトリミングは、多くの子犬にとって大イベントです。
サロンが苦手になってしまう子の多くは、この“最初の体験”でつまずいています。

そこでOne for Dog の「はじめてトリミング」では、飼い主さんがそばで見守りながら、社会化期のうちに“困った学習をしないための関わり方”を丁寧にお伝えしています。

これもまた行動学的な予防アプローチです。

「これから犬を飼う人の相談会」こそ行動学の入口

さらに言えば、犬が家に来る前の段階で行動学を学んでおくメリットは計り知れません。

この相談会では、犬がまだ介在していないからこそ「理想論ではなく現実に必要な知識」を落ち着いて理解できます。

まさに、行動学の“学ぶタイミング”として最適なステージです。

僕の結論:行動学は“後から”ではなく“最初から”

ドッグビヘイビアリストは、犬の行動を科学的に読み解く専門家。
根本原因を知ることはとても重要です。

しかし同じくらい大切なのは、

“いつ知るか”というタイミング。

犬を迎える前、
迎えた直後、
社会化期、
生活が整っていく過程。

このフェーズで飼い主さんが行動学の考え方を少し知っていれば、多くの問題行動はそもそも起こりません。

One for Dog はこれからも「困らないための学び」を提供し続けていきます。

はじめの一歩を、もっと楽しく。

行動学を学ぶことは、愛犬との暮らしを豊かにする確かな力になります。
でも、それを“堅苦しい学び”としてではなく、毎日の遊びや体験の中で自然に身につけてもらいたい。

そんな想いから、One for Dog では2026年1月より「芝生で犬と楽しむ会」をスタートします。

芝生のうえで、軽いアクティビティやミニゲームを楽しみながら、行動学が大切にしている“成功体験”や“ストレスの少ない関わり方”を家族みんなで体験できるレクリエーション企画です。

行動学の視点から見ても、この「遊びながら育てる」スタイルは、問題行動の予防に大きく貢献します。

愛犬との暮らしの “はじめの一歩” を、もっと楽しく。
そして、この町に“犬と人が心地よく暮らせる文化”を広げていきたいと思っています。