はじめに
今回のキーワードは、” 犬 皮膚トラブル ケア “
「うちの子、最近よくかゆがってる…」「皮膚が赤いって言われた」
そんな飼い主さんの声をよく耳にします。
でも実はそれ、被毛のお手入れ不足=“ブラッシング不足”が原因かもしれません。
ということで今回は、皮膚トラブルとお手入れの意外な関係について、プロトリマーの視点から分かりやすくお伝えします。
犬の皮膚トラブルのサインと原因チェック
- フケが増えた
- 皮膚が赤い・湿ってる
- かゆがる・掻きむしる
- 毛がゴソッと抜ける or 毛玉になっている
POINT! :皮膚が健康なら、被毛もツヤツヤしている。
深堀り!「毛を見れば、皮膚の状態がわかる」って本当?
犬の皮膚が健康であれば、被毛も自然とツヤ・ハリ・しなやかさが保たれます。
逆に、毛がゴワゴワ・ベタついている・抜け毛が多いという場合、皮膚環境の悪化が背景にある可能性が高いです。
その理由のひとつが、「ターンオーバー(皮膚の再生周期)」の違いにあります。
犬と人のターンオーバーの違い
種別 | ターンオーバー周期 | 特徴 |
---|---|---|
人間 | 約28〜45日 | 比較的ゆっくり。スキンケアによって調整が可能。 |
犬 | 約20日前後(早い子で14日) | とても早い!季節や体調でも大きく変動。 |
つまり、犬はわずか2〜3週間で皮膚の状態が大きく変化する動物。
そのスピードに飼い主が気づかずにケアを怠ると、あっという間に…
- 乾燥 → かゆみ → 掻きむしり
- 汚れ → 雑菌繁殖 → 湿疹/赤み
- 毛玉 → 通気不良 → 皮膚炎
と進行してしまうのです。
だからこそ「毛を見る」がポイント!
毎日触れている被毛のコンディションが、皮膚のSOSを知らせる最初のサインになります。
毛のツヤ・抜け毛の量・毛玉の有無などを日々観察していると、「いつもと違うな?」という小さな異変に気づけるようになります。
犬の皮膚トラブルと被毛のお手入れ不足の関係とは?
- 毛玉=皮膚の通気がなくなり、蒸れて雑菌繁殖
- 抜け毛放置=皮膚がこすれて炎症の原因に
- ブラッシング=マッサージ効果で血行促進&代謝UP!
POINT! :トリミング前の「フェルト状の毛玉」、実は皮膚にかなりのストレスが。
深堀り!「毛玉」と「フェルト状の毛玉」は別物!

毛玉とは?
- 比較的浅い層で、表面の毛が絡まった状態
- 指やコームでほぐせることもある
- まだ皮膚との間に空気の通り道が残っている
- 初期段階で見つければ、自宅ケアで対処可能なことも
フェルト状の毛玉とは?
- 毛玉が放置されたことで、根元までギュッと絡み、板状に固まった状態
- 被毛が皮膚に密着し、通気ゼロ
- 雑菌が繁殖 → 蒸れ → 赤み・炎症・かゆみの原因に
- 無理にほぐすと皮膚ごと引っぱって傷になるため、刈り取りが必要なケースが多い
フェルト化の怖いポイント
- 皮膚の血行不良や壊死のリスクもある
- フェルトの下で「皮膚が赤くただれていた」「自壊していた」など、トリミング現場では実際に起きている
- 特に、耳の裏・脇・足の付け根などは気づきにくい
だから早期発見・日常ケアが大切!
「ちょっと毛が絡んでるかも?」という段階でケアしておくことが、深刻なフェルト化を防ぎ、皮膚トラブルから愛犬を守る最大のポイントです。
トリマーが見たリアルな犬の皮膚トラブル事例
- トリミング時に発見される“隠れた皮膚炎”
- 「短く刈ったら真っ赤になってた…」という驚き
- 実は、毛玉の中で「皮膚が壊死していた」ケースも
POINT! :内側の毛玉は、実は見えにくい!?
深堀り!プロがよく見る「リアルな皮膚トラブル現場」から

「見た目はふわふわでキレイだったのに、バリカンを入れたら内側がフェルト状に…」
実は、表面の毛がふわっと覆っているために、根元の絡まりに気づきにくいことはよくあります。
特にお腹・脇・内ももなどは、動くたびに摩擦が起きやすく、毛玉が進行しやすい部位です。
歩き方が変?と思ったら「小枝」が!
「うちの子、最近びっこ引いてる気がして…」と来店された飼い主さん。
よく見たら足の裏の毛玉に小枝やゴミが絡みついていたというケースも。
特に長毛犬種は、肉球まわりや指の間に異物が入り込みやすく、毛玉のせいで痛みや違和感を感じることもあるのです。
最後のコーミング、やってますか?
ブラッシング後、毛が整ったように見えても、根本が絡まったままのことがあります。
スリッカーで全体をといた後、「仕上げのコーム」を根元からゆっくり通すのがプロの基本。
根本でつっかえるようなら、まだ毛玉がある証拠です。
→ “最後にコームが通るかどうか”が毛玉ゼロのサイン!
小さなサインを見逃さないために、毎日少しずつでもチェックしていれば、こうした「小さな異変」に早く気づけるようになります。
見た目より“手触り”に注目するのもポイントです。
犬の皮膚ケアで大切なのは“家庭での早期発見”
- 月1のトリミングだけでは追いつかない
- 毎日のブラッシングが、皮膚の異変を早期に見つけるチャンスに!
- ブラシで嫌がる=すでに何かしらのサインかも?
POINT! :愛犬の「ちょっとした変化」に気づけるのは、毎日触っている家族だけ。
深堀り!シャンプーだけじゃ不十分?ブラッシングの役割を再確認
「清潔にしていれば大丈夫」「汚れたから洗えばいい」
そんなふうに考えて、毛玉や抜け毛をほぐさずにそのままシャンプーする飼い主さんも少なくありません。
でも実は、それ…皮膚にとっては“拷問レベル”のストレスかもしれません。
毛玉がある状態で洗うとどうなる?
- 絡まった毛に水分が含まれると、さらに固く・重くフェルト化
- 濡れた毛玉の内側は、通気ゼロ&高湿度=雑菌の温床
- 洗っても汚れが中に入り込み、皮膚に密着して悪化
→ 見た目はキレイになったようでも、実は中はぐちゃぐちゃに。
ブラッシングは“準備”じゃない。“ケア”そのもの
ブラッシングは、ただ毛を整えるだけではありません。
- 毛玉・抜け毛・異物を除去する
- 血行を促進して皮膚代謝を整える
- 触れることで異変(赤み・しこり・かゆがる箇所)に気づける
つまり、ブラッシング=皮膚の健康チェックタイムなんです。
シャンプーとセットでやるべきこと
- 洗う前にしっかりブラッシング(特に根本)
- 毛玉がある場合は無理せず、プロに相談
- シャンプー後も乾かしながらの再チェックを
こうした流れが整ってこそ、本当の意味での“清潔”と“ケア”になります。
家族だからこそできる、小さな変化への気づき
愛犬の体に毎日触れているのは、あなたです。
「ちょっと毛がベタついてる」
「足の付け根を触ると嫌がる」
そうした“なんとなく”の違和感こそが、大切なサイン。
だからこそ、日々のブラッシングは“ケア”と“信頼関係”の両方を育む時間なのです。
どんなブラシを使えばいい?使い方は?
- 犬種ごとにブラシの種類が違う
- 強くやりすぎない/皮膚に当てすぎない
- ブラッシング前後の皮膚チェックもセットに!
POINT! :「うちの子に合う道具」から教えるのがOne for Dogのお手入れ教室の特徴
動画でも解説しています!
まとめ
皮膚トラブルは、トリミングサロンに来る前から始まっていることが多いです。
でも、ほんの数分のおうちケアが、愛犬の健康を守る第一歩になります。
「最近、なんとなく毛がごわついてるな…」と思ったら、それは皮膚からのサインかもしれません。
ご案内
▶︎ ブラシは持ってるけど、正しい使い方が分からない
▶︎ 皮膚が弱い子には、どんなケアが必要?
▶︎ うちの子、触ると怒るんだけど…
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