「トリマーって細かい…」
そんなイメージを持たれたことはありませんか?
SNSを見ていると、
「こんな飼い主さんは困る。」
「これだけはやめてほしい。」
そんな投稿を見かけることがあります。
でも、その多くはトリマーの”わがまま”ではありません。
犬の安全のため。
他のお客様のため。
そして、より良いトリミングを行うためです。
今回は、30年近くトリマーとして現場に立ってきた経験から、「なぜトリマーはそれをお願いするのか」を、できるだけ中立な立場でお話しします。
アポなし来店

トリミングは、犬を預かって終わりではありません。
実は、その前の準備がとても大切です。
犬種。
年齢。
性格。
以前の利用歴。
どんなカットを希望されるのか。
トリマーは来店前から頭の中でシミュレーションをしています。
私はよく、「トリミングは、一に準備、二に準備。」と言っています。
突然来店して、「今からお願いできますか?」と言われても、安全に施術する準備ができていません。
まずは予約。
これが、お互いのためになります。
当日予約

もちろん急な事情もあります。
しかし、当日予約が多いお客様を見ると、トリマーは少し慎重になります。
「以前のサロンでは何があったんだろう。」
そんなことを考えるからです。
もちろん、引っ越しや旅行など様々な理由があります。
でも、長く良い関係を築いている方ほど、次回予約や少し余裕を持った予約をされることが多いのも事実です。
電話営業

これはぜひ営業される方にも知っていただきたいことです。
トリミングは、人の美容室とは少し違います。
犬たちは、「終わった。」と思うと、一気に気持ちが切れるお客さまです。
施術中に電話が鳴り、トリマーがその場を離れたり、作業を中断したりしてしまうと、再び集中してもらうのがとても難しくなります。
ハサミを使う仕事だからこそ、集中が途切れることは事故にもつながります。
雨の日に泥だらけで来店する

「今日はシャンプーだから大丈夫。」
そう思われる方もいます。
でも、実際は違います。
トリミングはシャンプーから始まるわけではありません。
健康チェック。
爪切り。
耳掃除。
足裏のお手入れ。
泥だらけだと工程を変更しなければならず、犬にも余計な負担がかかります。
雨の日こそ、少しだけ気を遣っていただけると助かります。
ノミ・ダニ予防をしていない

これはお店の死活問題になりかねません。
もしノミが店内に逃げれば、他のお客様の犬へ移る可能性があります。
場合によっては営業を止めて大掃除をすることもあります。
ノミ・ダニが100%防げるわけではありません。
でも、予防しているかどうかは全く別の話です。
最低限の予防は、他のお客様へのマナーでもあります。
体調不良で来店する

犬たちにとってトリミングは、見た目以上に体力を使います。
立ち続ける。
姿勢を保つ。
慣れない人に体を触られる。
家に帰ると、ぐっすり眠る犬が多いのはそのためです。
だからこそ、
下痢。
嘔吐。
元気がない。
そんな日は無理をしないこと。
今日しか予約がないから…。
よりも、愛犬の体調を優先してください。
早めのお迎え

実は、これも困ることがあります。
犬は飼い主さんの気配にとても敏感です。
「迎えに来た!」と思うと、一気にソワソワし始めます。
その状態で刃物を使うことは、とても危険です。
少し早く着いたら、店内に入る前に一本お電話をいただけると、とても助かります。
トリミングを見守り続ける

飼い主さんの気持ちはよく分かります。
でも、犬は諦めることで落ち着きます。
「今日はこの人に任せるしかない。」
そう理解すると、意外と落ち着く子は多いものです。
ところが飼い主さんが見えていると、ずっと期待し続けてしまいます。
愛犬にも、トリマーにも、いつも以上に負担が増えてしまいます。
遅刻

「少しくらい遅れても大丈夫。」
そう思われるかもしれません。
でも、トリミングが終わった犬を長時間お預かりすることは、サロンにとって意外と大きな負担になります。
店内には、次の時間に来店する犬もいます。
犬同士の相性によっては、
「この子とこの子が一緒にならないようにしよう。」
と、あえて時間をずらして予約を組んでいることもあります。
お迎えが予定より大幅に遅れると、そうした配慮が崩れ、犬同士が同じ空間に居合わせてしまう可能性があります。
また、トリミングを終えた犬にとっても、慣れない場所で長く待つことは負担になります。
お迎えに遅れそうな時は、早めに一本お電話をください。
それだけで、サロン側も次の犬との動線を調整しやすくなります。
ホームケアを自己流で行う
私はホームケアを強く勧めています。
でも、それは「正しいホームケア」です。
自己流のブラッシング。
自己流の爪切り。
自己流の保定。
これらは犬に嫌な経験だけを残してしまうことがあります。
やるなら、きちんと学ぶ。
難しいなら、無理をしない。
それが結果的に犬のためになります。
まとめ

トリマーはサービス業です。
だから、どんなお客様にも真剣に向き合います。
でも、トリマーも人です。
「この飼い主さんと一緒に、この子を育てていきたい。」
そう思える関係性は、仕事の質にも表れます。
これから先、トリマー不足はさらに進んでいくでしょう。
だからこそ、良いトリマーを探す時代から、良いトリマーと一緒に育っていく時代へ。
私は、そんな時代がもう始まっていると思っています。

